2010年6月13日日曜日

はやぶさ=今夜帰還、本当に帰ってきた!

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NHKニュース 6月13日 午前4時40分 [ ビデオあり]
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20100613/t10015076511000.html

はやぶさ、 7年ぶりに帰還へ

 度重なるトラブルで一時は帰還が危ぶまれた日本の小惑星探査機「はやぶさ」が、7年にわたる宇宙の旅を終え13日夜地球に帰ってきます。
 はたして小惑星の岩石を持ち帰ることができたのか、世界初の挑戦の成否に注目が集まっています。

 「はやぶさ」は、地球から3億キロ離れた小惑星「イトカワ」に着陸して岩石を持ち帰るという世界初のミッションに挑戦し、度重なるトラブルに見舞われながら、7年にわたる宇宙の旅を終え、まもなく帰還します。
 宇宙航空研究開発機構によりますと、「はやぶさ」の状態は良好で、帰還のおよそ3時間前に小惑星の石が入った可能性のあるカプセルを切り離し、13日夜10時51分ごろ、大気圏に突入します。
 その際、本体は燃え尽きますが、カプセルは、大気圏突入から30分以内にオーストラリア南部のウーメラ砂漠に落下する予定です。
 月よりも遠い天体のサンプルを地球に持ち帰ることができれば世界初の快挙で、太陽系の成り立ちの解明につながるとして、その成否に注目が集まっています。
 カプセルは、日本から派遣された40人規模の回収隊が電波を頼りに広大な砂漠の中から探し出す計画で、宇宙航空研究開発機構では「準備は万全です。
 はやぶさの最後を見届け、絶対にカプセルを回収したい」と話しています。

 NHKニュースにはビデオが入っています。

 さていよいよ、待ちに待ったこの時がやってきました。
 今夜、真夜中(ここは日本と1時間の時差がある)。
 あと、14時間(現在:QLD時間午前10:00//日本時間午前9:00)ほど。

 
カプセルの切り離しは無事行われるか。
 パラシュートは開傘できるか。
 降下信号は発信できるか。
 カプセルは帰還できるか。
 
 可能性のある障害を挙げてみます。

①.カプセルの切り離しに失敗して、本体とともに大気圏に突入して燃え尽きる
②.切り離しに成功しても、何らかのことから大気圏で燃え尽きる
③.カプセルが大気圏再突入を無事終了できたとして、パラシュートの開傘に失敗して、ウーメラ砂漠の砂底に消えてしまう。
  発見できたとしても、砂漠との衝撃でカプセルが破壊されている。
④.パラシュートの開傘に成功しても、信号が出ず、気象条件などで砂に埋れて回収ができなくなる

 決して道のりは平坦ではない
 軽く見ているようだが、回収までまだまだ試練はある。


 その時を待つ今日のニュースを拾ってみます。


YOMIURI ONLINE 読売新聞2010年6月13日 午前03時02分
http://www.yomiuri.co.jp/space/news2/20100613-OYT1T00056.htm

「はやぶさ」大気圏突入前、地球撮影に挑戦

 【ウーメラ(オーストラリア南部)=本間雅江】小惑星探査機「はやぶさ」が日本時間13日午後10時51分に大気圏へ突入する。

 その直前、地球の撮影に挑む。
 大気圏突入で燃え尽きるはやぶさ。
 「7年ぶりに戻ってきた故郷の姿を最後に撮らせてやりたい」という研究者らの思いは通じるか。

 はやぶさは同午前9時には地球から27万6000キロ・メートルの距離に迫る。
 そこから見る地球は地上から見る月の約5倍の大きさになっているはずだ。

 しかし、はやぶさの最後の重要任務は、小惑星の試料を納めた可能性がある内蔵カプセルを機体の前面から地球に向けて放出する作業。
 それに必要な姿勢を保つため、底面のカメラは地球が見えない方向に向けている。

 相次ぐ故障を乗り越えて帰ってきたはやぶさに、その「目」で、もう一度地球を見せたい――。
 はやぶさ計画を率いる宇宙航空研究開発機構の川口淳一郎教授らが撮影を思い立った。
 カプセル放出から大気圏突入までの約3時間、残るエンジンなどの力を振り絞ってカメラを地球に向ける。
 うまくいけば、放出したカプセルも地球の手前に写るとみられている。


 カプセルは、はやぶさが大気圏に突入してから約20分後、ウーメラの砂漠に落下する見込みだ。




毎日jp 毎日新聞 2010年6月13日 東京朝刊
http://mainichi.jp/select/science/news/20100613ddm041040092000c.html

2010年宇宙の旅:はやぶさ、きょう帰還 研究者ら最終準備

 【ウーメラ(オーストラリア南部)永山悦子】人類初の小惑星からの岩石採取に挑み、小惑星との往復飛行を成功させた宇宙航空研究開発機構(JAXA)の探査機「はやぶさ」が、13日深夜に地球へ帰還する。

 小惑星イトカワの砂などが入っている可能性のあるカプセル探索のため、着地予定地のウーメラを訪れているJAXAの約40人の研究者たちは12日、カプセル回収に向けた最後の確認作業に追われた。

 はやぶさの地球までの距離は12日午前9時現在、約71万6000キロまで近づいた。
 13日午後7時50分ごろにインド北部の高度約7万キロでカプセルを切り離し、午後10時50分ごろに大気圏へ突入。
 カプセルはウーメラ砂漠へ着地、はやぶさ本体は耐熱構造になっていないため燃え尽きる。

 カプセルは、電波と大気圏突入時の光跡を手がかりに探索する。
 カプセルは、高度10キロで耐熱素材のカバーが外れてパラシュートが開き、探索用の電波の発信が始まる。
 JAXAは、着地予想地域を取り囲む形で、電波をとらえるアンテナ、光跡を観測する撮影装置を各4カ所設置、それらの情報から着地点を推定する。
 着地すると、ヘリコプターから赤外線カメラで観測し、大気圏突入に伴う熱を伴った物体を探す。
 さらに翌朝から、ヘリで本格的な探索を始める。

 JAXAによると、14日中にカプセルが見つかれば、最速で18日に日本へ到着する。
 電波が出ないなど手掛かりが少ないと、探索まで数日以上かかる可能性があるという。


 
(註: 読売(27万km)と毎日(71万km)では12日午前9時時点でのハヤブサの位置がまるでちがいます。
 どちらかが間違っているのでしょう。)


 これから、「はやぶさ」の帰還を追いかけていきます。

(註:インターネットに表示されたニュースを追います。
   時間が記載されていないものがありますが、この場合は「**分前」というメッセージを手がかりにおおよその時間を表示しています。そのようにしたものは(*)をマークしてあります。


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 ビデオ中継のニュースが出てきました。

 
 『
asahi.com 2010年6月13日 午前11時03分
http://www.asahi.com/science/update/0612/TKY201006120229.html

はやぶさ動画中継




 豪州の上空に戻ってくる小惑星探査機「はやぶさ」をネット中継しようと、和歌山大学や米航空宇宙局(NASA)、動画サイト「ニコニコ動画」などが準備している。
 はやぶさは13日午後11時21分(日本時間午後10時51分)に大気圏に再突入する予定で、神奈川・相模原の管制室の中継も計画されている。

 はやぶさと、分離したカプセルは再突入による高熱で流れ星のようにみえるという。

 和歌山大学のチームは、豪州南部の砂漠地帯でその瞬間を待ちかまえる。
 13日は日本時間午後10時30分から30分間、生中継する。
 尾久土(おきゅうど)正己教授は「当日は美しい南天の星々と、はやぶさの最期の姿を届けたい」と話す。

 「ニコニコ動画」も「おかえりなさい。
 はやぶさ」と題して午後10時から放送。
 視聴画面にコメントを書き込むことができる。

 NASAは飛行機で上空1万2千メートルから中継する。
 宇宙航空研究開発機構とともに小惑星「イトカワ」の砂が入っている可能性のあるカプセルを撮影する。
 中継は午後10時45分から10分間。

 管制室の様子は宇宙機構やはやぶさを製造したNECのサイトなどで午後6時から見られる。
 午後7時51分にカプセルを分離する様子が見どころだ。
 (東山正宜=ウーメラ〈豪南部〉、福島慎吾)

     ◇

■はやぶさ帰還を中継する主なサイト

【豪州から】

和歌山大学(午後10時30分から30分間)
http://www.ustream.tv/channel/hayabusa-back-to-the-earth

ニコニコ動画(午後10時から)
http://live.nicovideo.jp/watch/lv18265557

NASA(午後10時45分から10分間)
http://sgqtss.arc.nasa.gov:554/dc8-current.sdp


【相模原の管制室の様子】

宇宙機構など(午後6時~12時)
http://hayabusa.jaxa.jp/live/





NHKニュース 6月13日 午前12時04分 ビデオあり
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20100613/t10015079301000.html

はやぶさ帰還へ 回収向け準備

 日本の小惑星探査機「はやぶさ」が、7年にわたる宇宙の旅を終え、13日夜に地球に帰ってきます。
 小惑星の石が入っている可能性のあるカプセルが落下する予定のオーストラリアでは、カプセルの回収に向けた最終の準備が進められています。

 「はやぶさ」は、地球から3億キロ離れた小惑星「イトカワ」に着陸し、7年ぶりに帰還するもので、大気圏に突入する際に「イトカワ」の石が入っている可能性のあるカプセルをオーストラリア南部の砂漠に落下させる予定です。
 現地には、40人規模のカプセル回収隊が日本から派遣されていて、夜の本番に備えて、砂漠に設置したアンテナでカプセルが発信する電波をキャッチするためのリハーサルを行うなど最終の準備を進めています。
 「はやぶさ」は絶体絶命のピンチに何度も見舞われ、一時は帰還が危ぶまれましたが、知恵とくふうで危機を乗り越え、その姿に多くの人たちが共感しました。
 月よりも遠い天体を往復し、サンプルを地球に持ち帰ることができれば世界初の快挙で、その帰還に注目が集まっています。
 このあと「はやぶさ」は、日本時間の午後8時ごろカプセルを切り離し、午後11時ごろに大気圏に突入する予定で、本体は燃え尽き、カプセルだけが地球に帰還することになっています。

 NHKニュースにはビデオが入っています。



毎日jp  毎日新聞社 午後5時(*)
http://mainichi.jp/select/wadai/graph/2010hyabusa/?link_id=RAH04

■ 2010年宇宙の旅:小惑星の岩石採取、新設装置で分析へ

 小惑星探査機「はやぶさ」が13日、地球へ帰還する。
 はやぶさは05年11月、地球と火星の間の軌道にある小惑星イトカワに着陸し、岩石採取に挑戦。
 その「成果」を収めたカプセルがオーストラリアの砂漠へ着地する予定で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は「惑星物質試料受け入れ設備」を新設、カプセルの到着を待つ。【永山悦子】

 この設備は、相模原市のJAXA宇宙科学研究所にある。
 物質をまったく外気に触れない状態で回収・分析できる世界唯一の装置「クリーンチャンバー」を備えた。
 藤村彰夫教授(惑星科学)は「作業のポイントは、試料を汚さず、なくさないことだ」と話す。

 はやぶさのカプセルは、本体から切り離された後、試料の容器を宇宙空間で密閉した真空状態で着地する。
 現地で回収後、開封せず日本に運ばれる。

 はやぶさはイトカワ着陸には成功したが、表面の岩石を砕くための弾丸が発射しなかった。
 それでも、イトカワにはほとんど重力がないため、着陸の衝撃で地表の砂などが舞い上がり、容器に入った可能性がある。
 カプセル回収に成功し、内部に砂などが入っていれば、人類が初めて手にする小惑星の試料となる。

 しかし入っているとしても、粒子は非常に細かいとみられる。

 藤村さんらは、生き物の細胞の核などを取り扱う装置「マイクロマニピュレーター」を参考に、「特製ピンセット」を開発した。
 材質は、触れた物質を汚染する可能性が極めて低い石英ガラス。
 このガラスを熱して両側から引っ張り、ちぎれた部分をピンセットとして使う。
 幅1000分の1ミリ以下という極細の先端に電圧をかけて静電気を起こし、そこに引き寄せられた粒子を回収する仕組みだ。

 クリーンチャンバー内は高純度の窒素で満たされている。
 カプセルは、チャンバーの中で開封される。
 格納された容器の「中身」を、顕微鏡で観察しながら特製ピンセットで拾い上げる。
 この方法で、粒径5マイクロメートル前後の微粒子まで回収できる。
 残った粉末も液体を使って集める。
 カプセル内に気体がある場合は、チャンバーからガス採取用のタンクに導く。

 密閉状態を保てない場合に備えて、落下予定地の砂を事前に分析する。
 万が一、落下の衝撃でカプセルが破損して地上の砂や空気が紛れ込んでも、これで見分けることができる。

 回収できた試料は、やはり石英ガラス製の容器に保存し、まず国内の初期分析チームが解析する。
 何が入っていたか、データをカタログに整理し、各国から寄せられた優れた研究テーマの提案者たちに配る。
 一部は真空の容器に収め、後世のために保存するという。

 先月、米航空宇宙局(NASA)の研究者らが設備を見学に訪れた。
 第一声は「ビューティフル」。
 チャンバー内部の構造だけでなく、汚染物質の侵入を防ぐため表面積を最小に設計したコンパクトな外観も美しい、という意味だったという。

 初期分析チームの中村智樹・九州大准教授(太陽惑星系物質科学)は「カプセルを回収できれば確実に成果を出せる態勢を整えた。
 ぜひ無事に帰ってきてほしい」と話す。


◇ 太陽系の歴史、発見に期待 46億年前、そのままに

 イトカワの砂などを分析することで何が分かるのだろうか。
 小惑星は、太陽系が誕生した約46億年前の姿を今も保ち続けている。
 小惑星の物質を直接分析することによって、太陽系の歴史や成り立ちについて新たな発見が期待できる。
 もし、有機物が含まれていれば、生命の起源を考える材料になる。

 地球に落下する隕石(いんせき)は、小惑星からもたらされる物質の代表格だ。
 だが隕石は大気圏を通過する途中で高温になり、落下後は地球環境にさらされて変質している。
 はやぶさが持ち帰る物質は、このような熱変化や地球環境による汚染の影響がない。

 カプセルからの物質回収を担当する野口高明・茨城大教授(鉱物学)は「はやぶさが持ち帰る物質は宇宙空間にあった状態そのもの。
 隕石では分からない細かい物質や表面の状態を確認できるかもしれない。
 イトカワという特定の小惑星のものであることが分かっているので、隕石の分析を基にしてきた小惑星研究への影響も大きい」と期待する。



 なを、こちらのテレビ「テン・ニュ-ス」でも先ほど(5:30)ニュースで放送していました。
 6時のセブン・ニュースでは「NASA」の管制室が映され担当官がテレビに向かってコメントしていました。
 またウーメラ砂漠が写り、エミュー(大型ダチョウ)が出てきました。
 砂漠を走るハイウエイも写り、クローズ(閉鎖)されるとのことです。
 おそらく他のチャンネルもニュースで取り上げていることと思います。



毎日jp  2010/06/13 午後7:00(*)
http://mainichi.jp/select/wadai/naruhodori/news/20100613ddm010070014000c.html

質問なるほドリ:「はやぶさ」はどんな旅をしてきたの?=回答者・はやぶさ君

◆「はやぶさ」はどんな旅をしてきたの?

 ◇未踏の小惑星を往復 7年間・60億キロの航程、きょう帰還


● 「はやぶさ」の旅=画像提供JAXA

 人類初の小惑星の岩石採取に挑んだ宇宙航空研究開発機構(JAXA)の探査機「はやぶさ」が13日夜、地球に帰還する。
 2003年5月の打ち上げから約7年、総航行距離約60億キロにも及ぶ長い旅について、「なるほドリ」がはやぶさの人気キャラクター「はやぶさ君」(注1)に聞いた。【永山悦子】

 なるほドリ はやぶさ君、いよいよ帰ってくるね。どんな小惑星に行ったの?

 はやぶさ君 地球と火星の間の軌道を回る小惑星イトカワ(注2)だよ。
 地球から比較的近く、まだだれも行ったことがない小惑星だったんだ。
 到着まで約20億キロ、2年4カ月もかかったよ。

Q: 気が遠くなるね。すごいパワーのエンジンを持っているのかな。

A: 「イオンエンジン」という新型のエンジンだよ。
  キセノンガスに電気を帯びさせて、静電気の力でものすごいスピードで噴射させた反動で動くんだ。
  燃費がいいので燃料が少なくてすむのが特徴だよ。
  このエンジンの力は、地球上では一円玉をやっと持ち上げるくらいしかないけど、地球を飛び出した後で続けて運転すれば時速5,000キロまで加速できる。

 それに、「スイングバイ」(注3)という航法を組み合わせたので、たった数十キロの燃料でイトカワへ到着できたんだ。

Q: イトカワって、どんな小惑星?

A: 一番長いところが540メートルしかない、小さな小惑星だ。
  ピーナツのような形をしていて、表面はなだらかなところと、大きな岩がゴロゴロしているところがあったよ。
  人類が初めて見る天体だから、ぼくもドキドキしながら写真を撮ったりしたんだ。

Q: 岩石はどうやって採ったの?

A: イトカワの重力は地球の10万分の1しかないので、シャベルですくう動きをすると、反動で宇宙へ放り出されてしまう。
 だから、ぼくの下側につけた筒のような装置を使った。
 筒の先がイトカワの表面に触れると弾丸が発射され、砕けた岩石が筒の中を上って容器に入る、という方法で挑戦したんだ。

Q: うまくいった?

A: 着陸はだいたい予定通りだったけど、岩石採取の弾丸が発射できたかどうかは分からないんだ。
  でも、研究者の人たちは「着陸の衝撃で表面の砂が舞い上がって採れた可能性がある」と話していたよ。

Q: それはよかった。あとは帰るだけになったんだね。

A: ところがね、2度目の着陸の後、ぼくは地球と交信できなくなっちゃったんだ。
  イオンエンジンとは別の化学エンジンの燃料が漏れて姿勢がおかしくなって、太陽電池が太陽と違う方向に向いてしまったようなんだ。
 発電ができなくなったぼくは力がなくなり、気を失ったんだ。

Q: それは大変!

A: 7週間くらいは意識がなかったみたい。
  そのうち太陽電池に太陽が当たり始めて発電が始まったんだ。
  その時、地球からぼくを呼ぶ声が聞こえた。
  ぼくは必死に応えたよ。
  その返事に「うすださん」が気付いてくれて、交信が復活したんだ。

Q: うすださん?


● 「はやぶさ」打ち上げから帰還まで

A: 長野県佐久市にある臼田宇宙空間観測所のアンテナ(注4)さ。
  ぼくみたいな探査機との交信の仲立ちをしてくれているんだ。

Q: その時の体調はどうだった?

A: 意識は戻ったけど上手に動けなくて、あちこち検査してもらったんだ。
  徐々に動けるようになったけど、地球に帰るタイミングを逃してしまって、帰るのが予定の2007年より3年も遅れてしまったんだ。

Q: 7年間も一人で旅をして寂しくなかった?

A: 全然寂しくなかったよ。
  うすださんたちに協力してもらいながら、ずっと管制室の研究者の人たちとお話をしていたからね。
  調子が悪くなると、直す方法を考えてくれたり、良くならない時にはそれ以上悪くならないよう気を配ってくれたり、別の解決法を考えてくれた。
  一緒に旅をしているみたいだったよ。

 ◇太陽系の歴史、解明に期待

Q: その旅も、もうすぐゴールだね。
  イトカワの砂が入っているかもしれないカプセルは、どうやって地球に帰るの?

A: ぼくは13日午後7時50分ごろ(日本時間)、地球から約7万キロの高さでカプセルを切り離す。
  カプセルは大気圏に突入して、最高約1万~2万度の熱にさらされるけれど、特製の断熱材が中身を守ってくれるんだ。
  真夜中に、オーストラリア南部のウーメラ砂漠に着地する予定だよ。

Q: カプセルに何か入っていてほしいね。

A: 小惑星には、太陽系ができた約46億年前の姿がそのまま残っていると言われているので、もしイトカワの砂を分析できれば、太陽系の歴史がもっと詳しく分かるようになるかもしれないね。

Q: 帰ってきたはやぶさ君に、直接「お疲れさま」って言いたいな。

A: ありがとう。
  でも、それはできないんだ。
  ぼくはカプセルを正確に落とすため、できるだけ地球に近づかないといけない。
  カプセルを切り離した後、大気圏に突入して燃え尽きてしまうんだ。
  ぼくは流れ星になるよ。

 今、ぼくの目の前には真っ青な地球が見える。
 長旅でいろいろな星を見たけれど、やっぱりぼくの故郷が一番素晴らしい星だと思う。
 大変なこともいっぱいあったけれど、新しいことにたくさん挑戦できて、思い出がいっぱいできたよ。(JAXA所属)

 ◇実証目指した4技術 いずれも人類初の試み

 はやぶさは、地球以外の天体で岩石などを採取し持ち帰る技術を実証するため計画された。
 太陽電池パネルは端から端まで5.7m、本体は軽自動車の半分程度の大きさだ。

 実証を目指した主な技術は
(1).新型電気推進エンジン(イオンエンジン)による航行
(2).カメラで撮影した画像などを使った自律航行とイトカワへの接近・着陸
(3).ほとんど重力がない環境での試料採取
(4).密閉したカプセルを大気圏に突入させての試料回収。
 いずれも人類初の試みで、(3)までは成功とみられる。
 大気圏に突入したカプセルは、1万度以上の高温にさらされるため、回収はとりわけ難度が高い。

 プロジェクトチームは、技術実証がすべて成功し、イトカワの砂も入手できれば「100点満点で500点の成果」と位置づけている。
 それだけ挑戦的な内容ということだ。

 はやぶさの旅はトラブルの連続だった。
 打ち上げ直後、4基あるイオンエンジンの1基の不調が判明。
 イトカワ着陸前には、姿勢制御装置3台中2台が故障した。
 着陸直後には燃料漏れがきっかけで通信が途絶。
 復旧した後も、12台の姿勢制御用化学エンジンすべてが故障した。
 帰還に欠かせないイオンエンジンの故障にも見舞われた。
 だが、そのたびにチームは知恵を絞り、ピンチを切り抜けた。

 人類が地球以外の天体表面から物質を持ち帰るのは、「月の石」を持ち帰った米国、旧ソ連以来。
 彗星(すいせい)のチリを採取した例はあるが小惑星は初めてで、宇宙空間で密閉されたはやぶさのカプセルに入っている可能性がある試料は、科学的価値がより高いという。


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 ■ことば

◇注1 はやぶさ君
 はやぶさミッションの流れを紹介する絵本のために作られたキャラクター。
 作者は文部省宇宙科学研究所(当時)の研究員だった小野瀬直美さん(現・JAXA研究開発本部未踏技術研究センター常勤招へい職員)と奥平恭子さん(現・会津大准教授)。
 2001年に誕生した当時は打ち上げ前だったため、ミッション名の「ミューゼスC君」と名付けられた。

◇注2 イトカワ
 太陽のまわりを1周する公転周期は1.5年(地球は1年)。
 はやぶさ打ち上げ後、この小惑星を発見した米チームに、JAXAの研究者らが命名を依頼した。
 日本初のロケットを開発し「日本の宇宙開発の父」と呼ばれる故・糸川英夫東京大教授にちなむ。
 はやぶさによる観測の結果、イトカワの内部は約40%が空洞で、岩石の寄せ集めであることが分かった。

◇注3 スイングバイ
 地球など天体の重力を利用して、探査機の燃料を使用せずに軌道の方向や速度を大きく変える技術。
 はやぶさは2004年5月、地球に約3700キロまで近づいて、イトカワへ向かう軌道に乗り、加速することに成功した。
 イオンエンジンとスイングバイの組み合わせは世界初の試みだった。

◇注4 臼田観測所のアンテナ
 1984年に設置された直径64メートルの大型パラボラアンテナ。
 惑星や彗星を目指す探査機の管制に使われ、地上からの指令を送信したり、探査機からのデータを受信している。




 JAXAのサイトにはオーバーロードがかかっています。
 画像をとることは不可能になっています。


宇宙航空研究開発機構(JAXA)
http://hayabusa.jaxa.jp/live/

★ 2010/06/13 18:49 JST: 位置情報
 【残り4時間】午後7時 
 Category: Location_jp
 Posted by: HayabusaLive
 6/13午後7時。
 再突入まで残り4時間です。
 残り距離は約9万km。

 ついに10万kmを切りました。
 負荷軽減のため、更新頻度が下がります。
 次の情報発信は午後8時頃になります。

 F5連打したい気持ちをぐっと堪えて、サーバのいたわり運転にご協力ください。
 サーバは「はやぶさ」ほど不死鳥ではありませんので:-)

 ツイログはみれるようです。
 ROMになっちゃいますが、ここから情報を取ってください。
 http://twilog.org/Hayabusa_JAXA
といっても、なかなかこちらも情報をアップロードできないので困っています:-(
(IES兄)

★ 2010/06/13 18:36 JST:
 アクセス過多による接続障害について
 Category: Misc_jp
 Posted by: HayabusaLive
 18:30現在、アクセス過多によりライブ中継の画像が出にくい状態になっております。
 復旧と対策を行っております。
 皆様にはご迷惑をお掛けしますが、「はやぶさくん」のように辛抱強くお待ちください。7ヶ月はかかりませんので。

 重ねてお詫び申し上げます。

 あとツイッターもOverCapacityが出始めましたね。
 このブログが生命線となってしまいました。


 次の情報の8時頃とは、カプセルが分離される時間(7:51予定)である。
 ということは、カプセル切り離しの結果が
 「成功か、不成功か」
が判るということでもある。
 ちょっとドキドキである。
 どちらも繋がらない。
 タイムアウトする。

 ツイログに繋がった。

http://twilog.org/Hayabusa_JAXA
 はやぶさの運用に関して、6月13日19時51分(日本時間)にカプセルを分離しました
 探査機本体の状態は良好です。
posted at 20:06:46

The reentry capsule was successfully separated from Hayabusa spacecraft at 19:51 on June 13th, 2010 (JST). Spacecraft is going well. [posted at 20:07:33]

http://twitter.com/Hayabusa_JAXA/status/16064979580 

 「カプセル分離成功
 ヤッター!!!!!

 次は3時間後の日本時間「22:51」である。
 カプセルと「はやぶさ」本体がつぎつぎと高度200kmで大気圏に再突入する。
 このとき、「はやぶさ」が燃え尽き発光する姿がとらえられるかもしれない、というわけである。
 ちなみに、こちらの時間で午後11時51分、真夜中である。
 起きていないといけない。
 眠いのだが。
 11時からNASAをはじめとしてインターネット中継をする。
 見たい!!!
 しかし、果たして繋がるだろうか。
 とくに、こちらの時間で「午後11:45」のNASAの中継は是非とも見たい。

NASA

http://sgqtss.arc.nasa.gov:554/dc8-current.sdp


 JAXAの公式サイトは「Not Found」になってしまっている。

 ニュースサイトは「カプセル分離成功」を伝えている。

YOMIURI ONLINE (2010年6月13日20時11分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/space/news2/20100613-OYT1T00601.htm

「はやぶさ」カプセル分離に成功、大気圏突入へ

 【ウーメラ(オーストラリア南部)=本間雅江】
 日本の小惑星探査機「はやぶさ」が13日午後8時21分(日本時間午後7時51分)、内蔵カプセルの分離に成功した。

 カプセルと衛星本体は、分離から約3時間後に大気圏へ突入する。
 打ち上げから7年ぶりの地球帰還となる。
 月より遠い天体に着陸した探査機の帰還は、世界で初めて。





http://twilog.org/Hayabusa_JAXA
 6/13午後9時半。
 再突入まで残り1時間半です。
 残り距離は約3万km。
 ついに静止軌道の内側に入りました。
 またも時間を間違えたorz(IES兄)
 posted at 21:40:30



http://twilog.org/Hayabusa_JAXA
 6/13午後10時。
 再突入まで残り1時間です。
 残り距離は・・・約2万km。
 鉄道換算でも淵野辺駅手前まできました。宇宙研正門は目の前です。(IES兄)
 posted at 22:05:24



http://twilog.org/Hayabusa_JAXA
 午後22時30分頃、管制室は全てのコマンドを打ち終えました
 満ち足りた、やり遂げた人達の笑顔が眩しくて、ちょっと泣けました。(IES兄)
 posted at 22:43:24


 ビデオを見る。
 が、NASAはタイムアウトしてつながらない。



和歌山大
http://www.ustream.tv/channel/hayabusa-back-to-the-earth


 和歌山大学の中継につながった。
 言葉が聞こえてくる。

 「3分前」のカウントが入っている。
 (画面を見ながらタイプを打つ)
 「あと、1分」が入った。
 秒読みに入る。
 「D3の録画開始に入ります」
 「見ましょうみんなで」
 「アー来た」
 「きた」
 「きた」
 「すごい」
 「あれ、はやぶさ」
 「きた」
 「きた」
 「おー」
 「おー」
 「サーバーの録画を撮ります」
 「視聴者数 37,870」


 画面の中央下あたりに明るい光がゆっくり見えてくる。
 強烈に発光する。
 数秒だろうか小さくなって消えた。
 おそらく、「はやぶさ」本体が大気圏で燃え尽きたのであろう。
 「さようなら、はやぶさ


 ツイログを見てみる。


http://twilog.org/Hayabusa_JAXA

■まもなくはやぶさは地球の影に入ります。
 そしてその数分後、カプセルといっしょに地球に突入します。
 ありがとう、はやぶさ。
 たのんだよ、回収チーム!バトンは確かに渡したぞ!!
(IES兄)
 posted at 22:45:10

■<6月13日 22時57分(日本時間)発信>地上からカプセルの発光(火球)を確認しました。
 これにより、カプセルが大気圏に再突入したことを確認しました。

 posted at 23:00:09

みんな、ただいま!!
 posted at 23:02:40


 「はやぶさ」は帰ってきた

 7年1カ月ぶりに、地球に。
 そして満身創痍の体を大気圏に沈めた。
 忘れられない名前になった「はやぶさ

 本当に帰ってきた!




● 花いろいろ




【真っ赤に燃えた、太陽だから】



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