2009年12月31日木曜日

「鬼ころし」を飲む (三)

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 小包に入っていたのが下の手紙。
 これは頭の部分をスキャンしたもの。
 読みにくいかもしれませんので、タイプしてみます。


 ご隠居さんへ
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  いかがお過ごしですか?
 今年もあますところ数十日となりました。
 こちらは暖冬といわれながらも、12月らしい寒い日が始まりました。
 いつものようにささやかながら、日本の食べ物を送ります。




 内容的にはいいのだ。
 だが、最初がいけない。
 「ご隠居さん
 こういう表現はあってはならない。
 いつも言っているのだ、「ご隠居さま」と言うようにと。
 だいたい助さん格さんは「ご隠居」と呼ぶが、他の人たちは「ご隠居様」という。
 「ご隠居さん」というのはない。
 この表現は落語で、職人が仕事をするときに、小うるさい老人に対して放つ言葉だ。
 「ご隠居さん、そいつはマズイヤ」てな具合。
 これはこれでいい。
 職人は己が技量に絶対の自信をもっており、その部分では注文主と対等だと思っている。

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<あらー、年を越えるかも>

 この小包のなかに4枚のDVDが入っていた。
 横浜国際女子マラソン
 福岡国際マラソン
 全日本大学駅伝 前半
 全日本大学駅伝 後半
 
 なにしろ忙しい年末で、とてもビデオなど見ている暇がなかった。
 これを書き始めたら、横から次々と入り込んできた。
 ために21日に書き始めたこのサイトは<編集中>にしてそちらの主力を移すことになった。
 というのは、そちらは今年末で終了という期限が迫っていたためのである。
 よってそれを書き終えるために、大半の時間を注ぎ込んでしまったので、とてもビデオなど見る余裕などなかったわけである。
 でもなんとか、終えた。
 残りはこれ一本。
 となると無性にビデオがみたくなった。
 福岡マラソンをみた。
 ビデオだが、最後に2時間5分20秒の自己新記録を出せるか出せないかというラスト100mにテレビの前で声援を送ってしまい、5分18秒で新記録となったときは拍手してしまった。
 0時05分。
 今の時間はお正月である。
 ボンボンボンと花火の打ち上げる音が聞こえる。
 ニューイヤー・ファイアー:新年祝賀花火である。
 でも、今日はくもり空、音だけ聞こえる。
 昨年はテラスから見る、テーマパークの花火をすぐに送ることができたが、今年は音だけしか届いてこない。

 「新年、あけましておめでとうごいます」
 
 何ともさみしい、お正月である。
 でも、この年末は書いて書いて書きまくった年末になり、ひさしぶりの忙しい日々を過ごした。
 
 ついでに掃除機を壊してしまったが。
 そういえば数年前、年末に洗濯機が壊れたことがあった。
 修理屋を呼んだら、新しいのを買ったほうがいいと言われてしまった。
 まさか、手洗い洗濯で過ごすわけにはいかない。
 クリスマス後であったが、電気ショップにいって新しい洗濯機を買った。
 これ、30日に届いた。
 なんとかこれで年越しができた。
 今度は29日に掃除機が壊れた。
 この6月に買ったばかりの新品である。
 ここの製品は信用しないが、ここまで早く壊れるとは思わなかった。
 韓国製なら3年は安心して使える。
 サムソンの液晶デイスプレイは4年目で壊れた。
 まあ、そんなものだろう。
 日本から送ってもらった台湾製のデイスプレイは6年でいまだ健在である。
 仕様が異なるのではないかと思う。
 日本国内販売のものと、海外向けのものとでは、まるで信用度が違う。
 やはり、こういうときは日本人のすばらしさを身にしみて感じてしまう。
 このくそ忙しいのに掃除機の交換に出かけるヒマなどない。
 これ幸いと、掃除はやめてしまった。
 汚い衣服では正月は迎えられないが、掃除機をかけなくてもカーペットとタイルの住居ならヨゴレを意識せずともやっていかれる。
 てなぐあいで、正月になってしまった。
 12時20分。
 もう寝ることにしよう。
 あとは、明日?。
 ついに年越しになってしまった。


 今日は元旦。
 改めて「新年おめでとうございます」。
 日本にいれば、上州下ろしの空っ風、「実業団駅伝」となるのだが。
 それに代わって「横浜女子マラソン」
 行われたのは去年の11月のこと。
 東京女子マラソンの廃止に伴う後継マラソン。
 よって、今回が初回。
 初代女王は誰に。
 東京マラソンの初代女王はイギリスのスミス夫人であった。


●  一緒に入っていた新聞の切り抜き
 
 明日は箱根往路。
 代わりに全日本大学'駅伝前半を。
 明後日は箱根の復路のつもりで後半を楽しもう。
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 もうお正月も二日になってしまった。
 話を戻そう。

 家のものに「ご隠居さん」なんていわれると、バカにされているような気がしてくる。
 おそらく、バカにしているのだろうが。
 だいたい、どこの家でも老人はバカにされている。
 尊敬される老人などいない。
 確かに、自分がみていてもまわりには尊敬に値する老人などいない、と思えるからしかたがないのだが。
 とくに「老いてますます*****」なんてからみの本を書いている人に、ロクな人はいない
 まるで私と同じくらいにダメな人種である。
 まあ「老人力」とやらで己がむなしさを揶揄っているのが、一番似合うというところであろう。

 とはいえ「ご隠居さまか、ご老人と言え」と口をすっぱくしているのだ。
 でも呼んでくれない。
 飛んでくる呼び名は「ジジー」か、さもなければ「ジーさん」。
 無視すればいいのだ、と思っているが、
 「ジーさん」
 と呼ばれると、つい
 「おー」
 と返事してしまう。
 これがいけないのだ。
 どうも反応が、身体に染みついてしまっているようだ。



 ご隠居さまと「鬼ころし」となると、「隠居ころし」ということになる。
 「ババゴロシ」はあっても「隠居ころし」はない。
 そういうお酒もないし、ウリもない。
 もちろん「隠居殺し」ならある。
 ときどき三面記事に載っている。
 本当に殺されてしまうのでちょっと危険。
  
 イメージする「隠居ころし」は寒天ゼリーか。
 でも調べてみたら、寒天ゼリーよりもオモチの方が数倍ヤバイらしい。
 としたら「おもち」。
 でも今はお正月。
 これはパス。
 モノはやめよう。
 「鬼ころし」は実際に鬼をころすわけではない。
 鬼がメロメロになり、腑抜けになるということ。
 では隠居モードではどうなるだろう。
 
 「これだ!」
 というのがあります。
 
野原銀の介
 野原信之介の秋田のおじいちゃん。



 この秋田のおじいちゃんがメロメロになり腑抜けになってしまうもの。
 誰もがご存知ですね。
 「ピチピチ、ギャル
 しんのすけと一緒に美人のお姉さんについっていったら、なんとなんと女子大であった。
 そこでウキウキのりにのった銀の介は、ギャルを相手に講義をぶちかました。
 というのがありましたね。
 そういえば、「フーテンの寅さん」にも同じようなのがあった。
 寅さんがあれは早稲田大学だと思うが、「青年諸君!」と講義をする。
 その時間を受け持っていたのがいつもにこにこ三国一郎教授というストーリー。

 ちなみに九州のおじいちゃんもいる。
 でも昔、中学の教頭先生を務めたほどの、品行方正な堅物。
 この人からは「隠居コロシ」のイメージは浮かばない。

鬼ころしはお酒
 ババゴロシはウリ
 隠居ころしはピチピチギャル
 
 といったところだろうか。


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