2010年2月24日水曜日

「アバター」

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 いま世界を総ナメにしている映画がある。
 3D立体映像の『アバター』。
 「avater」とは辞書によれば「インドの神:神仏の化身・権化」とある。


 註:破壊神のシヴァに対してヴィシュヌは保存神。
   このヴィシュヌの生まれ変わりが「アバタール」。
   通常あらゆる偉大な人物をアバタールとみなす。
   今日のヒンドウー教の中にはイエスをアバタールの一人とみなす一派もある。

 一神教というカゴにおさまっていた西欧だが、最近は日本のもの、中国のもの、そしてついにはインドの神仏まで持ち出してきた。
 それだけ文化文明に行き詰ってきたということであろうか。
 その内容が刺激的。
 敗北した西欧文明、といったところ。
 科学の驕りに、滅亡の危機がせまる、かな!
 
 なにしろミーハーならぬジージー的なおじいさんは見たくてしかたがない。
 まずは映画館にいった。
 でもパンフレットなどはない。
 なにしろ、無駄なことは一切しないのが、ここの映画館の方針。
 あったのは上映スケジュール表のみ。
 それもA4の紙に印刷しただけのもの。
 それを見ておどろいた。
 なんと「2時間40分」もやっている。



 なにしろトイレが近い。
 2時間ならどうでもないが、その前のCMとか予告編とかいれると3時間近くになる。
 別に席を立ってもいいのだが、でも途中で席をを離れるというのは、なんとなく興がそがれる。
 いわく、「『沈まぬ太陽』は途中にトイレ時間がある」よ、とのこと。
 日本航空の滅亡により、それまでJALの圧力で陽の目をみなかった映画が、やっと上映されることになり、家のものが早速見に行ったときの言葉。

 でもやはり途中で席を離れるのはなんとも気がひける。
 開演は7時半。
 そこで夕食時はツユものは口に入れず、お茶ものまずに映画に備えた。
 『おくりびと』のときは、冷房がきいていて、ポロシャツでいったら寒くて寒くて、腕をさすりながら見ていた。
 そのことも含めて、今回はいろいろ気を配った。
 下着にポロシャツ、ついでに長袖まで用意した。
 何しろ長い。
 対策はした方がいいに決まっている。
 ここの人はTシャツに短パン、それにビーチサンダル。
 私は長ズボンに靴下である。
 長袖は始まってすぐに着た。
 体が寒いということはなかったが、サンダルでいったせいか靴下を履いていても寒い。
 冷気が床上10cmにおどんでいるという感じ。
 しかたがないので、となりの席に脚を投げ出して横向きに映画を見ることにした。
 まあ、空いているのでどうにでもポーズはとれる。
 1列20人くらいの席に、2、3人。
 前と後ろのブロックがあるが、前のブロックは誰もいない。
 3、400人くらいの席はあるが、お客は数十人である。
 対策が効をそうしたのか、一度もお手洗いにいくこともなく見終えることができた。

 ところで、火曜日というのは人の動きの最も無い日。
 日本ならさしずめ水曜日にあたるかもしれない。
 よって、映画館等はすべて火曜日割引をしている。
 今回はそれに、そう「シニア」割引を加えて、「15ドル」であった。



 おそらくこれには3D用メガネ代も入っているのだろう。
 日本では500円とられたと聞いたことがある。
 火曜日割引では19ドルであるから、「4ドル」のジーサン割引があったことになる。

 

 前置きが長くなってしまった。
 さて映画だが、さすがに世界の人気を集めるだけある、3Dの迫力がすごい。 
 画面に吸い込まれていく。
 コンピュータグラフィックスの清華といったところ。
 美しく、そしてファンタジックな世界が続く。
 人気になるわけである。
 映像は緻密で、かゆいところまで手が届くほど。
 いったいどうやって、こういう画像・映像を作り出すのだろう。
 
 であるが、日本人の心象から見るとちょっと何かが足りない。
 映像は実に美しい。
 が、何かがない。
 以前に「千と千尋」を見たことがある。
 これも映像が美しかった。
 それにもう一つ、題名は忘れたが宮崎駿の作品をみたことがある。
 これも映像がよかった。
 この宮崎駿の作品とアバターを比べると、何か違う。
 どう違うかというと、宮崎作品は、
  「映像に詩情がある」
 ということである。
 映像の美しさからにじみ出てくる何かがある、ということである。
 アバターは映像は美しいが、この何かが出てこない。
 「美しい」
 ただ、それだけで終わってしまうのである。
 その美しさがかもし出すであろう、「背後のもの」、これがない。
 それを言葉にすれば詩情ということになるのであるが。
 そのために、深みがない。
 目でみる映画であるということである。
 「心に残るものがない美しい映像」ということである。
 見た、すごかった、で終わってしまう。
 おそらくこれは日本人の気質とアメリカ人の気質の違いによるものであろう。
 ストーリーが貧困ということも作用してはいるが。

 全体的な印象からいくと、
  (ターザン+猿の惑星+スターウオーズ)/3
 といってまず大きく間違うことはないだろう。
 3Dという特殊性をのぞけば、ウスッペラな映画である。
 アメリカの限界だろうか。
 しかたがないだろう。
 歴史の重みがないと、潤いがないし、心に響くものも育っていない。
 あるのは、その技術的表現力であり、過去を見ることができないならSFの世界しか、もぐりこむところがない。

 3Dがスゴイ
 この一言が、この映画のすばらしさであろう。


予告編1
http://www.youtube.com/watch?v=cRdxXPV9GNQ
予告編2
http://www.youtube.com/watch?v=d1_JBMrrYw8


 この3Dブームに刺激されたのか、テレビが3Dになるという、あるいはなったという。
 おそらくアニメは3Dにもっともしやすい番組だろう。
 アニメが3Dになったら、マンガ本が売れなくなるのではないだろうか?
 なんて心配をしてしまうのだが。
 一般番組をわざわざ3D用メガネまでかけてみることはないだろうから、番組が3Dで作られていても、普通に2Dで見られるようになっているのだろう。
 てな心配をしたら、ちゃんと解説ニュースがありました。
 なにしろ世の中便利に出来ている。


産経ニュース  2010.2.17 07:38
【イチから分かる】3Dテレビ 米国映画が追い風に
http://sankei.jp.msn.com/economy/business/100217/biz1002170739002-n1.htm


 テレビのカラー放送が始まってちょうど50年、いよいよ「立体映像」を楽しむ時代がやって来る。
 今年(2010)は電機メーカーが家庭向けの3次元(3D)対応テレビを相次いで投入する
 「3D元年
 とされ、春以降、新製品がお目見えする見通しだ。
 ただ、すべての番組やソフトが立体で楽しめるわけではなく、視聴するには専用のメガネが要るなど、注意点も少なくない。
 3Dの何が“新次元”なのか、整理してみた。(森川潤)
                   ◇
 3Dテレビの最大の特徴は、メガネをかけて視聴した際、映像が画面を超えて飛び出したり、逆に画面の向こう側に行けそうな奥行きが表現されることだ。
 かつて、アニメなどで流行した「飛び出す映像」というよりも、「画面の中にいるような臨場感」(大手メーカー)を体感できる。
 3Dの映像自体は数年前から、米国映画を中心に人気に火がつき、日本でも今年、映画「アバター」が記録的なヒットとなった。
 米国では、今後すべての映画を3D化する制作会社も登場している。
 この映画でのブームを追い風に、電機メーカー各社は3Dテレビを投入する。
 今春にパナソニックが対応プラズマテレビを発売するのを皮切りに、ソニー、東芝、韓国サムスン電子などが参入する見込みだ。
 気になる価格だが、パナソニックが4月に発売するモデルはメガネ1個とセットで50型が43万、54型で53万円。
 メガネは別売りで約1万円となっている。
 現行の機種に比べ6万~7万円高めとなるものの、夏以降、各社の投入で激しい価格競争が予想されている。

 3Dの原理は、左目と右目で別々の映像を見ることで、立体を見ているかのように錯覚させるのが基本的な仕組みだ。
 1秒間に左目用と右目用の映像を60枚ずつ交互に映し、専用メガネがそれに対応して高速で映像を切り替えることで、立体視聴が可能となる。
 メガネのシャッターは、かけている本人が気づかないぐらいに速い。
 各社とも、使用する技術はほぼ変わらない。

 ただ、3Dテレビを購入したからといって、すべての映像を立体で見られるわけではない。
 現時点で3D対応の放送は少なく、ブルーレイディスク(BD)再生機を使ってソフトを見るのが一般的となりそうだ。
 このほか、ソニーの家庭用ゲーム機「プレイステーション3(PS3)」のゲームソフトも対応する。
 逆に通常の2次元(2D)映像を見る際は、3Dテレビでも見ることができる。
 当面、3D専用の映像機器で撮影した映像が主なコンテンツとなるが、2D映像を3Dに変換する技術やメガネなしで見られる技術も開発されつつある。
 今後の展開に熱い視線が注がれそうだ。
                   ◇
コンテンツの充実課題

 3Dテレビに欠かせないのが、対応コンテンツの充実だ。
 放送波の視聴が少ないだけに、ブルーレイディスク(BD)やゲームなどが普及しないかぎり、3Dテレビも“宝の持ち腐れ”に終わりかねないからだ。
 電機メーカー各社もこれまでのテレビ技術にとどまらず、映画や放送の制作会社との提携を進めるなど、コンテンツ面の競争も激しさを増している。
 ソニーは今月、米国ハリウッド近郊に「3Dテクノロジーセンター」を開設。
 撮影技師やカメラマンに3Dの撮影方法を教える態勢を整えている。
 パナソニックも同社のハリウッド研究所を通じ、映画業界との連携を強める構えを見せる。
 今後、人気3D映画がBD化されるのを見据えて、制作現場から関与を深めていくのが狙いだ。
 すでに、両社は米で3D専門の放送局を設立したり、独占契約を結ぶなど、対応番組の拡充にも余念がない。
 日本でも、衛星放送「BS11」が試験放送を開始している。
 ケーブルテレビのジュピターテレコムが4月から番組配信をスタートするほか、CS放送のスカパーJSATも、夏から放送を開始する予定だ。
 しかし、地上波放送の動きはまだほとんど出ていない。



 散歩をしていたら近くの公園のネットフェンスにポスターが張ってあった。
 3月3日、午後7時、この公園で映画を上映します、というご案内。
 椅子と毛布はご持参ください。
 アイスクリーム販売があります。
 もちろん3Dではない。



 遥かなる少年時代のこと。
 年に1、2度、近くの公園で映画をやった。
 布のスクリーンが張られ、ゴザを持って夕方から席とりをした。
 そのうち見上げる首が痛くなって、ゴザに寝転んでしむことになった。
 それでも楽しいものであった。
 雨が降ったら、落胆どころか悲しみにつつまれたほど。
 ここの子はそんなことはないだろう。
 公園のはす前にあるブロックバスターへいけば、そのビデオが借りられる。
 どちらかといえば、ワイワイガヤガヤでアイスクリームを食べるほうのほうが楽しいことなのだろう。 


● 花いろいろ





[◇  2010/03/20]



 日豪プレス4月号にアバター関係の記事が2本ありましたので紹介しておきます。




25today
http://top.25today.com/interview/celebrity_interview/post_1714.php#a017425

 世界中でメガ・ヒットを記録し社会現象とまで呼ばれている映画『アバター』。
 史上最高の製作費300億円をかけた、コンピュータ・グラフィックス(CG)によるSF超大作だ。
 それまでの世界興行収入第1位だった自身の監督作品『タイタニック』から構想14年、ジェームス・キャメロン監督が“映画史の革命” と銘打って世に送り出し、わずか39日で約1,700億円という興行収入の世界新記録を達成。
 アカデミー賞では大本命として、作品賞、監督賞、視覚効果賞など、史上最多の9部門にノミネートされている。
 その『アバター』の制作を支えた日本人がいる。
 同映画のデジタル映像制作をほぼ一手に引き受けたニュージーランドのウェタ・デジタル(WETA Digital)社で、3年半にわたって『アバター』の制作に携わったクリエーター、多田学さんに話を聞いた。

 22世紀を舞台にした『アバター』の主人公は、生身の俳優が演じる車椅子に乗った元海兵隊員。
 地球から遠く離れた惑星「パンドラ」で行われる資源開発プロジェクトのために、青い皮膚を持つパンドラの住民ナヴィ族と人間の遺伝子から造られた肉体に意識を送り込み、“アバター”となって美しいその惑星に入り込む。
 そこでさまざまな発見と愛を経験した彼は、やがてその星の自然と文明を守るための戦いに身を投じていく——。

 人間以外のほとんどすべてがコンピュータ上で創造されたこの映画。
 観た人の反応は、最高傑作だと興奮する人もいれば、ストーリーがシンプルすぎる、という人までさまざまだが、世間はこの映画について語らずにはいられない。
 特に「映像がものすごい」「架空のCGキャラクターなのに感情移入した」——その2 点は、皆がそろって声を大にする。
 実際に、劇場で渡される眼鏡をかけ、その話題作を「体験」すると、奥行きのある立体映像に、まるでその世界の中に入っているかのような感覚となり、誰もが驚くに違いない。
 映画という芸術の形態が文字通り、2次元から3次元へと“深化”していく瞬間を目の当たりにしているという興奮を感じる人も多いだろう。


絶大なプレッシャーの中で

 「ジェームス・キャメロン監督の渾身の自信作、映画史上最高の予算ということで、僕たちへの絵に対する要求、執念はハンパのないものでした。
 しかも全編リアルなフルCG(すべてがコンピュータ・グラフィックスによる映像)で、3D(シアターで専用眼鏡をかけて観る立体映像)の作品という、前代未聞の野心的な企画だったので、最先端技術とのせめぎ合いの連続。
 さまざまな意味でハードルが高く、監督もスタジオもプロダクションもプレッシャーは絶大なものでした」。

  同映画に携わったCGテクニカル・ディレクター、多田学さんはそう振り返る。

 -------<略>-----


Profile
 多田 学 (ただ がく)

 千葉大学デザイン工学科で工業デザインを学ぶ。
 1993年スティーブン・スピルバーグ監督の『ジュラシック・パーク』をはじめとした、ハリウッド映画のCGの台頭に感化され、大学に通う傍ら産学協同のクリエーター養成スクール、デジタル・ハリウッドでCGの基礎を学ぶ。
 1997 年大学卒業とともに渡米。
 LAで視覚効果CG制作会社、デジタル・ドメインに勤務した後、2003年にNZのウェタ・デジタルに転職。
 『Xファイル』『アイ,ロボット』『デイ・アフター・トゥモロー』『ラブリーボーン』『ディストリクト9』など、多くのハリウッド映画でCGの視覚効果やライティング(照明効果)に携わる。
 アカデミー賞視覚効果賞を受賞した『キング・コング』(2005年)ではライティングのリード・アーティストして活躍。
 映像革命といわれる『アバター』でも、前代未踏のリアルなフルCGで立体映像の製作に、ライティングのテクニカル・ディレクターとして携わった。








[◇  2010/03/23]

任天堂ゲーム機、6年ぶり完全新型発売へ 裸眼で3D 2010/03/23 17:56
http://www.asahi.com/business/update/0323/OSK201003230076.html
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 任天堂は23日、新型の携帯型ゲーム機「ニンテンドー3DS(スリーディーエス)」を2010年夏以降に発売すると発表した。
 特別なメガネなどをかけず、裸眼で立体(3D)映像が楽しめるのが特徴。
 6月に米ロサンゼルスで開かれるゲーム見本市「E3」で詳細を発表するという。

 新型機は現在のニンテンドーDSと同様に2画面やタッチパネル機能を備え、DS用のソフトも遊ぶことができる。

 シャープが開発している裸眼3D液晶パネルを採用するとみられ、2004年11~12月に発売されたDS以来、約6年ぶりの完全な新型機となる。






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