
郵便postに入っていたのが下記の紙。
「小包が届いています。郵便局に取りにきてくだい」というお知らせ。
ランナバウトを一つ越え、ゆるい坂を上り、そして下った交差点の角に郵便局がある。
12,13分ほど。


ID証明として免許証を見せて、サインをして貰ってくる。
重量2.7kg、送料¥5,400。
中身はほとんどお菓子の食品類。
金銭的にはなんとももったいない。
こちらでもそれだけのお金をだせば、日本食料品店で倍買ってもおつりがくる。
昔の世界ではない。
地球は狭くなった。
ゴムぞうりで飛行機に乗り、機内食は不味すぎると持参のおにぎりで食事する時代。
日本品など、山のようにあふれている。
まあ、日本に住む人の心理的負担の軽減処置。
いつものように、検閲で開けられた。
下が「開けました」という書類。

抜かれると、何を抜いたかそのリストを書いた用紙が入っているが、今回はない。
最近は検閲にかかる食品がわかってきているので、最初から入れてこない。
さて、一緒に入っていたのが、このお酒。
「万楽 鬼ころし」
ついつい、笑いが出てしまう。
はるかな昔のこと。
シニアカードなどもらうようになったら、話題ははるかな昔のことしかない。
そこがシニアの悲しいところ。
還暦を過ぎたら、
「ない若さを誇るようなみっともないことはしないように」
と心に決めているが、でも時々出てくる。
そういうことは、実生活ではおさえて、こういう誰も読んでくれそうにないシステムの中でウサバラシするのが健康的。
決して人前にしゃしゃり出たり、意見を述べたりすることは控えて、若い人のやることに納得していくようにつとめているのが正しい生き方。
「老いて*****」なんてのは具の骨頂。
みっともなくも、恥ずかしい。
といいながら、この穴倉で「王様の耳はロバのミミ」とやっている。
はるか昔の若い頃、小さな息子と娘をつれて夜になるとお酒を買いにいった。
それぞれに百円玉を渡し(100円と50円玉だったかもしれない)、お手てつないで、近くの酒屋へ。
娘がコインをいれるのだが投入口に届かない。
だっこしてやる。
息子はお酒の出てくる下の口に手を入れて待っている。
ときどき手を入れすぎて抜けなくなる。
娘がコインを2つ入れると、ガチャガチャガタ-ンと出てくる。
「デター!」
娘はすぐにおつりの出てくるところで待つ。
チャリリリリーン。
10円玉が2つ出てくる。
息子と娘に10円玉を1個づつやり、わたしはお酒を持って、なんとなく気分よく、家へ帰ってくる。
このころはやったのが「ワンカップ大関」
でも出てきたのは「ワンカップ松竹梅」
どういうわけか日本酒はときどき売れ切れになる。
「売れ切れだって、帰ろうか」
「ダメ!」
子どもはコイン投入とガチャガチャガッターンが面白くてついてくる。
しかたがないので、隣の缶ビールのボックスにいく。
ビールは売れ切れたことがない。
なのに日本酒は4日も5日も補充されない。
酒屋の陰謀だろうか。
郊外に引っ越してからは、駅前で買って帰るので、子どもたちと酒屋にいくことはなくなった。
というよりも、酒屋がえらく遠くなった。
歩いてはいけなくなった。
自転車が必要になった。
よって駅前で買って帰ることになった。
ここでよく買ったのが、「鬼ころし」。
箱の酒で一番安いのがこのお酒だった。
あるとき都合で別の酒屋に入って鬼ころしを買った。
が、この鬼ころし、いつもの鬼ごろしと違う。
違うが、でも「鬼ころし」には違いない。
それに高い。
見てみたら製造元も違う。
大関も松竹梅も一社からのみ販売されている。
あたりまえのことだ。
ではこの「鬼ころし」っていうのはどうなっているのだろう。
その後、酒屋に入ると鬼ころしに目がいくようになってしまた。
少し遠くに倉庫みたいなところでやっている酒屋のデイスカウントショップができた。
箱の酒の棚に数社の鬼ごろしが並んでいた。
「鬼ころし」って誰が使ってもいい商標のようである。
でも、そんなことあっていいものだろうか。
一抹の疑問もあったが、でもいいらしい、と納得させた。
ス-パードライをキリンビールで発売するはずがないのであるが。
今回、「鬼ころし」が送られてきたのでちょっと調べてみた。
こういうとき、インターネットは便利である。
たちまち日ごろの疑問が氷解する。
最初に飛び込んできたのはこの記事。
『
日本酒「鬼ころし」 教えて!goo
http://oshiete1.goo.ne.jp/qa82426.html
[問]
「鬼ころし」と名のつく日本酒は多数ありますが、これはライセンス生産をしているということなのでしょうか?
それともただパクっただけ?
本家本元の「鬼ころし」はどれなのでしょうか?
』
この答えがいろいろイケている。
『
[答.1]
余談ですが、私自身、夏場のビールの一口目を飲んだときなど「クァ~、ちくしょう!殺される~っ!」と口走っ てしまうことがありますので、「鬼ころし」というネーミングは大好きです。
今まで、単純に「鬼を殺す」ほど美味くて、酔わせてしまう酒(ヤマタノオロチの 話みたいなかんじ)かなあなどと思っておりましたので「鬼ころし」侮り難しと思っていました。
しかし、さらに上を行くネーミングのお酒があります(焼酎だったかもしれませんが)その名も
「鬼おどし」
・・・・仮に鬼がいたとして、殺すことは出来たとしても、脅すのは無理だ・・・
[答.2]
10年ほど前に、酒問屋に勤めていたときに聞いた話ですが、「鬼ごろし」という商品名は、商標登録されていないみたいです。
なぜかというと、元々その名称で販売していた酒蔵が、商標登録をしていなかったために、日本中にその名称が広がり、一つの酒蔵のみが、「鬼ごろし」の名称を独占することができなくなったそうです。
「鬼ごろし」という言葉の意味は、鬼をも(酔い)殺すほどのうまい酒という意味だそうです。
本家本元の「鬼ごろし」ですが、「飛騨の鬼ごろし」(酒蔵名は忘れましたが岐阜県です)だと聞いたことがあります。
[答.3]
鬼ころし、とは鬼をも殺すような悪酒、つまり、まずい酒の代名詞として使われていたようです。
で、ある蔵元が逆手をとって、これを酒の銘柄に使ったら、大評判。
それにあやかる蔵が続出・・・という図式かと思います。
ライセンスとか、系列とかは一切関係ないと思われます。
まあ、ぱくりと言えばぱくりかもしれませんが、業界人なら誰でも知っているフレーズだったのでしょう。
今では、辛口の酒の代名詞のように使われていますね。
』
「鬼ごろし」が強い酒の代名詞であることは分かったが、
うまい酒なのかまずい酒なのか?、
このところがいまいちはっきりしない。
どちらでも解釈できることは確かではあるが。
登録商標されていないので、誰が使ってもいいようである。
こういうのは、とてつもなくメズラシイように思えるのだが。
さて、鬼ころしの本家は岐阜県飛騨高山の老田酒造店のようである。
その、インタビュー記事を。
『
長年の疑問、なぜ“鬼ころし”というネーミングなのか!?
http://www.excite.co.jp/News/bit/00091160010210.html
「なぜ鬼ころしは“鬼ころし”なのか?」。
恐怖のネーミング酒「鬼ころし」だが、やたらと酒屋で見る。
疑問を晴らすべくお話を伺ったのは岐阜県の「老田酒造店」さん。
こちらは創業が江戸享保年間(1720年代)という由緒正しき老舗酒蔵。
果たしてそのネーミングの謎とは?
「なぜ、“鬼ころし”という名前なのですか?」
もともと「鬼ころし」というのは辛口な日本酒の代名詞で「鬼をも殺す程、“辛い”」というたとえから生まれた名前です。
だから、当社だけではなく様々な会社さんが作っていますよ。
広辞苑など辞書を見ると、辛口で雑味が多くあまり良くないお酒と説明されていますが、それは甘口全盛の時代に出来たイメージ。
一時期は、その「イメージ」と「殺す」という言葉の過激さから、全国の酒屋さんから減ってしまいました。
「今は全国で、どれぐらいの“鬼ころし”があるんでしょうか?」
“鬼ころし”や“鬼ごろし”で若干名前の違いはあると思いますが、全国で100ぐらいはあると思いますよ。
だけど、おそらく当社が“鬼ころし”を作った最初の蔵だと思います。
』
「鬼ごろし」は100ある!
イヤハヤ!
100もあれば、不味いのもあるし、美味いのもある。
安いのもあれば、高いのもあるわけである。
だが、絶対に「ない」ものが一つある。
「甘口 鬼ころし」
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